仕事は楽しいかね?デイル・ドーテン/野津智子訳

「私」がひどい吹雪の夜に、オヘア空港で巡り合わせた幸運の物語。

この本を読めば「あなた」も老人マックスの一夜の講義を通して成功への鍵を手に入れることができるだろう。

 

主人公は家庭を持ち、そこそこの給料をもらい、以前は仲間たちと起業するも失敗した経験をもつ、ごく一般的な男。

自己啓発本は山ほど読んできたが、これぞという戦略はなかった。哲学などはなおのこと」

実に共感できる一文だ。

私も自己啓発本などを手に取り、何冊かは読んでみるが、未だ答えにはたどり着いていないから。

 

冒頭ですでにマックスは答を言っている

『試してみることに失敗はない』

また同じような文言かと思うかも知れないが、成功への鍵はこれしかない。

ここから様々なエピソードを展開していく。

心に残ったものを切り取っていく。

 

アップルコンピューター第一号をつくった

ティーブ・オズニアック

彼がコンピュータを作ったのは世界を変えたかったのでも、大企業のトップになりたかったのではなく、

ただクラブの仲間に自慢したかったからだ。

大きな目標なんかなかった。

 

大事なのは目標ではないということ。

目標や心構えは後からでもいい。

全ては偶然なのだ。

チャンスやひらめきをものにできる態勢でいるいることが重要だ。

成功は態勢が出来ている人は10/2の可能性

できてない人は1/10の可能性でしかない。

変化し挑戦していくこと。

 

コカ・コーラをつくった

薬屋ジョン・ペンバートン

仕事中、従業員が品物のシロップずつうやくを水で飲んでいるのを発見。

興味をそそられ、ソーダで割ったものをコカ・コーラと名付け販売。

ただの運が良かったエピソードかもしれないが、あなたがジョンだったなら、どういう対応をするだろう。

たぶん多くの人は怒鳴り付けるだけだと思う。

史上空前の発明を前に、すーっと通りすぎだけにならないように。

 

リーバイ・ストラウス

カリフォルニアの金の話を聞き付け向かっていた。

途中いくつかの商品を船旅の途中で販売するも、テント用の帆布だけ売れ残った。

サンフランシスコにつくと市場にズボンが品薄だった。

そこで仕立て屋を雇い、帆布を使った丈夫なズボンを作った。

 

完璧とはダメになる過程の第一段階

完璧以上に素晴らしいを目指して変化し続けること。

 

これからやるべき3つのリスト

・仕事でやったミスを全部書き出すこと

・問題点を書き出すこと

仕事に対してイライラすること。

また同僚の不平不満も書き込もう。

・仕事に関してやっている全てのことを書き出すこと。

一度書いたら二度と同じものは書かないように。

つねにリストを変化させ続ける。

目につきやすいところに置いておくこと。

「FIRE最強の早期リタイア術~最速でお金から自由になれる究極メソッド~」クリスティー・シェン&ブライス・リャン

最高の自己啓発書かつ実用書!

ここ最近読んだ中でもトップクラスに感銘を受けた本です。

漠然と生き、将来に何となく不安を抱えている人にこそ響きます。

 

著者は決して恵まれた環境に産まれたわけではなかったが、培った欠乏マインドと計算によって「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」いわゆる経済的自立と早期退職を達成した。

しかも30代でだ。

働かずして好きな場所で好きな事をして生きていけるのだ。

羨ましいの一言だ。

 

しかしまだ自分にもできる。

すでに31歳となった私には、なかなか堪える内容もあったが、まだ間に合うのだ。

しっかり現状を見つめ直し、改善していけば無理ではない。

 

まず第一に収入について。

これが一番自分には堪えた。

著者は作家になりたいという夢があったが、

それでは食べていけない可能性が高いことも理解していた。

そして大学にかかるコストと就職後の収入とを計算しコンピュータエンジニアという職を選んだ。

著者いわく情熱に従うのは(まだ)早いという事らしい。

事実、経済的自立を成し遂げてから作家として成功している。

自分は好きな仕事を見つける事ができたので、後悔はないが経済的自立という面では遠回りしてしまったのかもしれない。

ちょっと辛くなったがやる気も出てきた。

 

次にマイホームは投資ではない事。

マイホームは夢がある。

しかし経済的自立を成し遂げるには、重りとなる場合が多い。

著者も決して全面否定している訳ではないが、

しっかりと住宅にかかるコストを計算した上で決断するよう述べている。

 

そして投資をするということ。

なんだ結局投資か、となるかもしれないが、これこそが万人に達成できる道である。

起業し大成功、宝くじで億万長者、にならなくても誰でも頑張れば経済的自立できるのが投資だ。

そしてその答えも書いてある。

 

インデックス投資

インデックス投資とはどの会社の株価が上がるか下がるかという推測をやめて、株式市場全体の成長に賭けることだ。

今やデータが集まり、このインデックス投資には、どんな優秀なファンドマネージャーでも勝つことが難しいらしい。

長期で見ると、それがより顕著になる。

プロでも勝ち続けるのは不可能なのだ。

 

最後に投資によって出た利益で生活する。

実にシンプル。

著者は投資を積み重ねることによって

100万ドルをついに貯めた。

それを4%の利回りで運用し、その範囲で生活すれば、元本を減らさず一生暮らしていけるのだ。

日本円で1億貯めて運用し400万円で生活すればゴールだ。

400万円あれば満足した生活を送れるだろうし、足りない人はもう少し頑張れば良いのだ。

 

さらに株価は変動するものだ減ったらどうする!

という答えにも解決法や防御策まで、親切に教えてくれている。

 

他にも

著者の実際のポートフォリオ

旅行でのエピソード(これもしっかり経済的自立につながる)

保険や子供について、はてはコミュニティまで心配して答えをくれる。

 

自分もまずは現状を把握し、

一歩ずつFIREに近づけるように努力を続けようと思う。

燃えている。

 

 

「五分後の世界」村上龍

血と硝煙のニオイがした。

 

 
ここまで鮮明に戦争の光景を表現できる作家さんには今まで出会っていなかった。
非常に残酷な世界、それでいて美しさを感じる世界を主人公の小田桐を通して体験さえられた。

 

小田桐が迷い込んだのは今だにアメリカ率いる国際連合と戦い続ける続ける日本だ。
死を身近に感じながら、生を学んでいく。
生々しい描写が多く眼をそむけたくなるが、読む手を止めることができなかった。
次々と展開していく物語に気が付くと読み終わっていた。

 

特に印象的だったのはワカマツのコンサート場面だ。
本当に音楽が聞こえてくるようだった。
本当に自分がその場所にいるような気にさせられた。
恐怖を感じながら、高揚している自分がいた。

 

そして、その後に続く怒涛のクライマックス。
圧巻のラスト。
「え」となるが、あのラストこそが著者の思いを体現しているのかもしれない。

 

読了後も、あくまで小説、パラレルワールドだと切り捨てるのは勿体ない作品だった。
戦争賛歌ではないが、今生きている日本にプライドと誇りを取り戻すために、あの戦争を振り返ってみてもいいかもしれない。
そんな気にさせられる。
さすがは著者史上最高傑作と言わしめた作品だった。

ぜひ皆さんにも手に取ってほしい